亡くなった方の埋葬方法は国や地域によって異なりますが、日本では火葬をおこなってから遺骨を骨壺におさめてお墓などに埋葬します。火葬後に遺骨を骨壺におさめる儀式のことを骨上げ(こつあげ)と呼び、収骨(拾骨)と呼ばれる場合もあります。
骨上げは、火葬後に遺された骨を箸で骨壺におさめるのが特徴で、日本独自に広まった慣習といわれています。海外では宗教上の理由などで土葬が行われることが多く、火葬が行われても粉砕機で遺骨が細かくされるため、日本のような骨上げの慣習がありません。
骨上げで遺骨を拾い上げる際は、箸を使っているのも大事な意味があり、故人をこの世からあの世に渡る「三途の川」への橋渡しをするためといわれています。
また、骨上げに使う箸は、木と竹など種類が異なるものや長さが違うものを一対にして使っていますが、これはお互いが接ぎ木ではないことを意味しており故人との決別・お別れを意味するという説もあります。
箸から箸へ料理を渡してはいけない「箸渡し、合わせ箸」や、材質の違う箸を使ってはいけない「違い箸」のように、骨上げで行う箸の使い方とは逆の行為を食事のマナー違反としています。
これは、日常生活と非日常となる死後の世界を反対にして捉える逆さごととして考え、不幸が続かないようにするとの意味も込められた日本人ならではの慣習です。
骨上げの方法は地域によって異なり、東日本では遺骨の全てを骨壺におさめている「全収骨」なのに対し、西日本は一部の遺骨だけを骨壺におさめる「部分収骨」が多いようです。そのため、遺骨をおさめる骨壺の大きさも異なり、西日本は東日本より小さめサイズなのが特徴です。(東日本:6寸~7寸、西日本:3~5寸)
部分収骨で骨壺におさめられなかった遺骨は、火葬場で供養されています。
地域によって骨上げの方法が異なる理由は、「火葬技術が普及しはじめた明治以降に西日本は火葬場と墓地が近かったため、部分収骨して残りはそのまま墓地に埋葬できたが、東日本は火葬場と墓地が遠かったので全収骨する必要があった」という背景があるようです。
現在でもお住まいの地域によって慣習が異なります。事前に確認しておくことをおすすめします。
故人と遺族の関係性によっては、骨上げをしないという選択肢も考えられます。原則的に荼毘に付された遺骨は遺族が骨上げすることになっていますが、西日本の一部地域では収骨拒否をして骨上げを行わない選択肢も可能な場合があります。
その後は、散骨や合祀墓などへ納骨されるなど、火葬場によって対応が異なりますので、事前に確認しておくことをおすすめします。ただし、東日本は全収骨が原則で、収骨拒否できない場合が多いため、注意しましょう。