弔問のマナーとは?日程や服装から言葉遣い等の注意点

弔問(ちょうもん)とは、近しい人の訃報を受け、遺族へお悔やみを伝えに行くことです。お通夜や葬儀に参列するのが一般的ですが、日程の都合等で、お通夜の前や葬儀の後にご自宅へ伺うケースもあります。
いずれの場合もご遺族に失礼のないよう、服装や持ち物、言葉遣いなどの最低限のマナーをわきまえることが大切です。
ここでは、弔問の日程や服装、持ち物、言葉遣いなどのマナーについてご説明します。

近しい人の訃報は大きな衝撃と悲しみをもたらしますが、電話で報せを受けた場合は、まずは落ち着いて、遺族の方にお悔やみの言葉を伝えましょう。

その後、弔問のために通夜や葬儀、告別式の日取りや場所、喪主のお名前、宗旨を確認します。
ご遺族の方は通夜や葬儀の手配で忙しいので、なるべく手短に用件を済ませる必要がありますが、特に親しい間柄であれば、お通夜の準備や訃報の連絡などで手伝えることがないかどうか申し出てみるのもよいでしょう。

弔問に行くタイミングは、大きく分けて3つあります。

  • 1. お通夜の前

お通夜の前は準備で慌ただしい時期なので、一般的に弔問は控えた方が無難です。

ただし、故人や遺族と特に親しい間柄の場合、お通夜の前にご自宅へ伺い、準備を手伝うこともあります。その場合でも、お通夜の前に伺ってお手伝いしても良いかどうか、あらかじめ遺族に確認することが大切です。
何度も電話をかけるとご迷惑になりますので、お通夜前に伺う意思がある場合は、訃報の連絡を受けたタイミングで尋ねておきましょう。

  • 2. 通夜・葬儀

どうしても外せない用事がない限りは、お通夜または葬儀に会葬(かいそう)するのが一般的です。

通夜・葬儀の日程について連絡を受けている場合は、会葬にあたり、事前の連絡は不要です。

  • 3. 葬儀の後

仕事などでどうしても日程の都合がつかない場合は、葬儀や告別式が終わった後、ご自宅へ弔問に伺います。葬儀や告別式が終わった直後は、ご遺族は諸々の手続きや後片付けなどで忙しいので、落ち着いた頃合いを見計らって弔問するのがマナーです。

ただし、弔問は四十九日までに済ませるのが基本ですので、あまり時間を置くのも考えものです。自分やご遺族の都合にもよりますが、葬儀後、3~5日間くらい空けてから、ご遺族に連絡して弔問に伺いたい旨をお伝えするのがベターです。
突然伺うと、先方も弔問客を迎える準備が整っておらず、ご遺族の心身に負担をかけてしまうおそれがありますので、事前連絡は必須です。

なお、四十九日を過ぎてから人づてに訃報を知った…という場合は、四十九日以降に弔問しても失礼にはあたりません。その際は、やはり事前にご遺族に連絡を取り、つい最近訃報を知ったことと、遅ればせながら弔問に伺いたい旨を伝えましょう。

弔問するときの服装

弔問の服装マナーは、弔問するタイミングによって異なります。自分が弔問する時期に合わせて、適切な服装を選びましょう。

  • お通夜前は平服

故人と親しい間柄で、お通夜の前に駆けつける場合は、平時の服装で訪問します。
平服(へいふく)はマナー違反と思われがちですが、お通夜前にもかかわらず、きちんとした喪服で弔問すると、あたかも訃報を予見していたかのようなイメージを与えてしまい、かえって失礼にあたります。
ここでいう平服とは、男性ならビジネススーツ、女性ならアンサンブルなどのことで、Tシャツやジーンズといったラフな格好や、派手なデザインの服装は避けましょう。

また、女性は過度なメイクは避け、アクセサリーも結婚指輪以外は身につけないようにします。結婚指輪に石がついている場合は、手のひら側に回して石が見えないよう配慮しましょう。
髪色は黒が理想ですが、染め直している時間はありませんので、少し茶色がかっている程度なら、髪をすっきりまとめるくらいでもかまいません。

ただ、かなり明るい色の場合は、ウイッグをつけたり、カラースプレーを使用したりして、なるべく落ち着いた髪型に近付けるよう心がけましょう。
ネイルはクリアやベージュ、薄いピンクなら問題ありませんが、ラメやラインストーンがついたジェルネイルを施している場合は、思い切って落とすか、黒いレースの手袋を着用して人目に付かないよう注意します。

  • 通夜・葬儀は喪服

お通夜や葬儀に会葬する場合は、喪服を着用します。
化粧や指輪についてはお通夜前の弔問と同じです。

  • 葬儀後はスーツやワンピースなど

葬儀や告別式に参列できず、後日弔問する場合は、ご遺族に悲しみを思い起こさせないよう、喪服ではなく平服を着用しましょう。

ただ、急ぎ駆けつけるお通夜前とは異なり、きちんと約束を取り付けた上での弔問ですので、あらたまった訪問着を身につけるのが基本です。
男性ならダーク系のスーツやネクタイ、白シャツを、女性なら落ち着いた色合いのワンピースやスーツを着用します。通夜や葬儀と同じく、光り物は外し、メイクも薄く抑えましょう。

  • 弔問で持参するもの

弔問の際に持参するものは、服装と同じく、弔問のタイミングによって異なります。弔問で持参するものや、注意点についてまとめました。

  • お通夜前の弔問には香典を持参しない

お通夜前の弔問に香典を持参すると、亡くなることを予見して準備していたとみなされます。お通夜前に伺う時は香典は持参せず、お通夜や葬儀、告別式に参列する際にあらためてお渡ししましょう。
もしお通夜や葬儀、告別式に会葬できない場合は、お悔やみの手紙を添えて香典を郵送するという方法もあります。

  • お通夜や葬儀・後日の弔問では香典を持参する

お通夜や葬儀、または後日弔問する場合は、香典を持参します。ただし、お通夜や葬儀に参列していた場合、後日弔問する際の香典は不要です。

なお、香典の表書きは、四十九日までは「御霊前」、四十九日以降は「御仏前」とします。

  • お花・手土産の持参は基本的にOK

お通夜前の弔問では香典は不要ですが、故人が好きだった食べ物やお花を供えることは可能です。
お通夜前の花は「枕花(まくらばな)」と呼ばれ、ご遺体のそばに供えられます。枕花は葬儀が終わった後、忌明けまでご自宅で飾られるものなので、派手な色は避け、百合など白を基調とした花を選ぶようにします。

ただ、故人が好きだった花の場合は、ご遺族にその旨を伝えたうえでお供えすれば失礼にあたりません。枕花の相場は5,000円~20,000円程度ですが、故人のご自宅に届ける場合は10,000円前後を目安として用意するのが一般的です。
お供え物も、故人が好きだったものを選ぶのが一般的ですが、日持ちのしない生ものや、加工肉、加工魚などは避けましょう。お供え物は宗旨によっても考え方が異なりますので、訃報のしらせを受けた際に宗旨を尋ね、適切なものを選ぶことが大切です。

弔問の流れ

弔問の流れは、お通夜前に行った場合と、葬儀後に行った場合で多少異なります。自分が弔問するタイミングに合わせ、マナーをわきまえた振る舞いを心がけましょう。

  • お通夜前に弔問する場合の流れ

お通夜前に弔問することをご遺族に伝え、許可をいただいた場合のみ、ご自宅へ伺います。玄関先で迎えられたら、その場でお悔やみの言葉を述べ、お花やお供え物があればお渡しします。
このとき、ご遺族から対面やご焼香をすすめられた場合のみ、家に上がらせてもらいましょう。自分から対面やご焼香を申し出るのはマナー違反ですので、何も言われなければ早々に場を辞します。

一方、対面・ご焼香をすすめられた場合は、故人の枕元に正座をし、両手をついて一礼します。
ご遺族が白布を外したら、故人に深々と一礼し、合掌します。元の姿勢に戻ったら、やや下がってご遺族の方に向き直り、一礼しましょう。ご遺族は通夜や葬儀の準備で忙しいので、長居はせず、短時間で引き上げます。

  • 葬儀後の弔問の流れ

葬儀後に弔問する際は、あらかじめご遺族に連絡して日程を取り決めた後、約束の日にご自宅へ伺います。
玄関先で簡単なお悔やみの言葉を述べ、ご遺族に招かれてから家に上がります。仏壇の前で焼香し、ご遺族の方に向き直ってから、あらためてお悔やみの言葉を伝えます。
香典やお供え物はお悔やみの言葉を述べた後にお渡ししましょう。

ご遺族は通夜や葬儀、その後の手続きなどで心身ともに疲れが溜まっていますので、生前故人にお世話になったことや、感謝の気持ちを述べたら、早々に辞去します。

弔問で気を付けたい言葉遣い

弔問ではご遺族にお悔やみの言葉を伝えますが、使ってはいけない「忌み言葉」というものがあります。
忌み言葉は複数ありますが、不幸の重なりや、死を連想させる言葉が多いので、お悔やみの言葉を伝える際は忌み言葉を口にしないよう注意しましょう。
代表的な忌み言葉には、以下のようなものがあります。

  • 度々・重ね重ね・くれぐれも

同じ音を繰り返す言葉は、不幸の重なりを連想させます。
「加えて」「深く」「十分に」などの言葉で言い換えましょう。

  • 死ぬ・死亡・生きている頃

死を直接イメージさせる言葉はNGです。
「ご逝去」「ご生前」「お元気でいらした頃」など、間接的な言葉に言い換えましょう。

  • 再び・追って

不幸や災難が続くことを想起させる言葉も避けるべきです。
「後ほど」「別の機会に」などの言葉に言い換えましょう。

  • 消える・迷う・切れる

魂が消滅する、この世にさまよう、縁が切れるなど、不吉なイメージのある言葉ですので、口にするのは控えましょう。

  • 易な励ましの言葉

忌み言葉ではありませんが、弔問で安易な言葉をかけるのは、ご遺族の悲しみを増長させる可能性がありますので、あまりおすすめできません。
弔問では故人を悼む気持ちを優先し、お悔やみの言葉のみを簡潔に伝えるようにしましょう。

まとめ

弔問では、ご遺族の方に失礼のないよう、服装や持ち物、言葉遣いなど基本的なマナーをわきまえて行動する必要があります。服装や持ち物は弔問に伺うタイミングによって異なりますので、どんな服装や持ち物が適切なのか、事前にしっかり確かめておくことが大切です。

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