献杯の挨拶と作法・乾杯との違いについて解説

「乾杯」で故人に敬意を表す
葬儀で使われる「献杯」は、故人(亡くなった人)に対し、敬意を表す意味で使われる言葉です。故人を慈しみ、尊ぶ意味でもあるため、葬儀や法事、法要では必ず使われます。
しかし、「献杯」をどのように使うべきなのか、よくはわからないという方も少なくないでしょう。
そこで今回は、献杯の挨拶文例や、献杯時における作法や注意点、さらに「乾杯」との違いについて解説します。葬儀で挨拶を頼まれても不作法にならないように、知識と教養を身に付けましょう。

献葬儀での杯の挨拶文例を紹介

葬儀や法要の最後には、参列者同士で会食をする場が設けられます。献杯の挨拶は会食の場で行うもので、誰が行うかなどの明確な決まりはありません。そのため、いつ振られてもよいように挨拶の準備をしておきましょう。

  • 【故人との関係が親族の場合】

故人の○○(関係性)でございます。本日はお忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。皆様のご助力もあり葬儀を無事に終えることができました。故人(名前)も安心していることと存じます。短い時間ではございますが、故人との思い出を皆様と語らいながら冥福を祈りたいと思っております。それでは献杯の準備とご唱和をお願いいたします。献杯。

  • 【故人との関係が友人の場合】

故人の友人で、仲良くさせていただいておりました○○と申します。この度は突然の出来事で未だに嘘ではないかと思ってしまっているのが正直な気持ちです。明日も帰り際に「またな」と言える、そんな気がします。きっとこの思いは彼にも伝わっているでしょう。どうか、心配せず安らかに眠ってください。それでは献杯のご唱和願います、献杯。

 以上を参考に、献杯の挨拶をできるようにしておきましょう。

献杯での作法と5つの注意点

「献杯」の仕方・注意点
献杯の挨拶を行う際は、いくつか作法や手順があります。
下記を参考になさってください。

1.故人の位牌にお酒をささげる
2. 参列者全員に飲み物が行き渡るようにグラスにつぐ
3.遺族代表の挨拶が終わり次第、献杯の挨拶を行う(※自身が親族ではない場合は、参列者にもわかるように軽い自己紹介と故人との関係を述べるようにしましょう)
4.献杯の挨拶
5.落ち着いた声で「献杯」と発し、杯を軽く上げる

なお、注意しなければならない点は以下の5つです。

1.献杯と言った後はグラスを打ち合わせない
2.おごそかに静かに「献杯」と言う
3.拍手はしない
4.挨拶の中にお悔やみの言葉を入れる
5.話は長くならないようにし、1分程度にまとめる

献杯の挨拶は、故人を偲ぶために行われるものです。決してお祝い事ではないのでグラスの打ち合わせや拍手などは無礼にあたります。注意しましょう。

献杯と乾杯の違い

献杯と乾杯は似ている言葉ですが、次のように用いる場面がまったく異なります。

*献杯:葬儀や法要の際に用いる。故人に捧げる言葉
*乾杯:お祝い事や結婚式などで用いられる

また、上述したように献杯ではグラスや杯を打ち合うのは禁止で、杯を飲み干した後の拍手も禁止です。しかし乾杯はグラスを打ち合うものであり、飲み干した後に拍手をするのも構いません。このように似ている言葉でも、用いる場面や作法が違うものはよくあります。間違っても葬儀や法要の場で、大声で「乾杯!」などと言わないようにしましょう。

まとめ

冠婚葬祭の中でも葬儀や法要は守るべき作法が多くあります。
しかし、葬儀は頻繁に行われるものではないため作法やマナーを知らない人も多いのが現状です。献杯でグラスを打ち合わせてしまったり、大きな声を出してしまったりと、大人になって作法が身についていないと恥ずかしい思いをしてしまいます。
また、親族や関係者から注意を受けてしまう可能性もあるので、しっかり覚えておくべきでしょう。
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