遺言書の書き方と文例~無効にならない自筆証書遺言のポイントとは!?

遺言書の書き方には、細かな決まり事がいくつもあります。きちんと効力を発揮する遺言書を作成するためには、確かな知識と情報が必要不可欠です。故人の意思を残された遺族に伝える大切な文書だということをしっかりと意識して、後悔のない遺言書作成にあたりましょう!

遺言書とは

正しく作られていない遺言書は無効となってしまう
遺言書とは、自分の死後に、誰にどの程度の財産を相続させるか、ということを明確に記した文書のことです。遺言書にはさまざまな書き方の決まりがあるので、ぜひしっかりと学びましょう。

相続税申告で困らない

遺産を相続し、相続した遺産が基礎控除額を上回った場合に発生するのが「相続税」です。
相続税が発生した場合には、期限内(死亡したことを知った日から10ヶ月目)までに相続税の手続きをしなければなりません。

また、受け取った遺産総額が大きいと、それにともない税額も大きくなりますが、税額を軽減してくれる「特別控除」があります。

この特別控除の主なものには故人の配偶者に相続税が発生したときの「配偶者控除」と、故人が生前に住んでいた住居を相続した場合の「小規模宅地等の特例」があります。
もしもいずれかの控除を受けたいという場合には、期限内(死亡したことを知った日から10か月目の日)までに申告しなければなりませんが、遺言書がない場合に申告するには「遺産分割協議書」が必要になります。

この「遺産分割協議書」は、相続人の内誰か1人でも合意していなければ認められません。
ですから、遺言書に遺産の配分をきちんと記しておくことで相続人を納得させることができますし、遺産に関する申告がスムーズになるのです。

相続争いを避けることができる

遺言書を残しておくことで、大きなメリットになるのが「相続人同士の争いを回避できる」という点です。
遺言書の効力は強く、その記載内容は一定の拘束力を持つので、相続人たちも合意せざるを得ないでしょう。不用意な争いや人間関係の歪みを避けるためにも遺言書はきちんと残すことをおすすめします。

法定相続人でない人に遺産を相続させられる

遺産相続となると、どうしても法定相続人である子や孫にしか残せないと考える人も少なくありません。
ですが、遺産は血縁者ではなくても相続させることができるのです。しかし、法定相続人ではない人に遺産を相続させるには、しっかりと遺言書に記さなければいけません。

遺言書とエンディングノートの違い

遺言書とエンディングノートの違いとしては、死後の遺産配分については遺言書、死後の葬儀の仕方や供養の仕方への希望について記したものをエンディングノート、となっています。遺言書は遺産配分について明確に記し、法的効力があるものです。しかしエンディングノートは、決まった書き方などはありませんし、法的効力もありませんが、自分の意思をきちんと残すことができます。

自分が死んだあとは、このような葬儀をしてほしい、供養はこうしてほしい、といった意思を自由に書くことができるのです。

遺言書の種類、それぞれの意味、書き方

3種類の遺言書 それぞれの意味
遺言書には、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」、さらに「秘密証書遺言」といった3通りの種類があります。ここでは、この3つの遺言書の意味や書き方について詳しく見ていきましょう。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、その名の通り「自分で書いた遺言書」のことです。とくにこれといった費用もかからず、オーソドックスな遺言書の書き方なので、この自筆証書遺言を残す方も多いです。
しかし、自筆証書遺言には細かい決まりがあり、ひとつでも誤りがあると、法的効力が無効になってしまうので、とても注意が必要な書き方です。
自筆証書遺言の決まりをいくつかご紹介します。
1.必ず本人の手書きでなくてはならない(ワープロやパソコンで作成は不可、代理人による代筆も不可)
2.誰に何を残すのかをしっかりと明記する
3.遺言書を書いた日付ししっかり記す(平成31年1月1日というように)
4.遺言書にはしっかりと署名・押印をする
5.書き間違えた場合には、作り直した方が無難

公正証書遺言

公正証書遺言というのは、公証役場の公証人に遺言書を作成してもらう書き方です。公証役場の公証人に、遺言書に記したい内容を伝え、それに基づいて遺言書を作成してもらええます。
公証人に作成してもらうので、自筆証書遺言より確実で安心できるというメリットがありますし、遺言書は公証役場で保管されます。
紛失の恐れもありませんし、死後すぐに相続の手続きができるといった特徴があります。
公正証書遺言には、記載する財産額に応じた料金が発生しますので、費用がいくらかかるのかきちんと把握しておくと良いでしょう。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、封をして中身が開けられない状態の遺言書を公証役場へ持っていく遺言書の残し方です。
自分以外の他の人物に中身を見られることがないので、相続に関して知られたくない情報がある場合には、この方法をとると良いでしょう。
公証役場に預けた遺言書は、死後、公証人によって遺言書の存在を明らかにされます。
もしも自分の死後に、遺言書が紛失してしまいそうな恐れがある場合は、秘密証書遺言として公証役場へ持っていくことをおすすめします。

正しい自筆証書遺言の書き方のポイント

正しい自筆証明遺言書を作成するために必要な8つの要項
自筆証書遺言には、いくつかの決まり事があります。
万が一、不備が見つかってしまってはせっかくの遺言書も効力を発揮できず、一枚の紙きれになってしまいます。
生前の思いを託した遺言書が無効になってしまっては、とても悲しいものです。
ここでは、正しい遺言書の書き方のポイントを8つご紹介します。

必ず本人の手書きでなくてはならない

自筆証書遺言という名の通り、絶対に本人が書いたものでなければいけません。仕上がりが綺麗、きちんとした書類にしたいからといってワープロやパソコンを使ってはいけません。
血縁者であっても、代筆は認められない
いくら血の繋がった家族や親族であっても、代筆は認められません。必ず本人の直筆で書きましょう。本人に頼まれたからという理由でも、代筆だと分かると遺言書は無効になってしまいます。

本人の肉声であっても、音声での遺言は認められない

自筆証書遺言は、本人による直筆、書面でなければなりません。遺言書には本人の署名と押印も必要ですから、音声での遺言は認められないのです。

誰に何を相続させるのかをしっかりと明記する

遺言書には、誰に何を、または誰にいくら相続させるということを詳しく書く必要があります。相続するものによっても書き方は違ってきますので、きちんと調べて記入することが大切なのです。

日付はしっかりと記載すること

自筆証書遺言を作成した日の日付を書きましょう。「平成31年1月吉日」などのような省略した書き方はいけません。
しっかりと、何年の何月何日に書いたものなのかが分かるように記入しましょう。

署名と押印を忘れない

自筆証書遺言で忘れてしまいがちなのが、署名と押印です。
相続内容をきちんと記したら、文の最後に自分の名前を書き、印鑑を押しましょう。
せっかくきちんと記したにも関わらず、文末の署名と押印が忘れてしまっては、遺言書は効力が発揮できなくなってしまいます。

何枚かに及ぶ場合は契印をする

遺言書に記したいことが、2枚や3枚というふうに複数枚に及ぶ際には、契印をすることがおすすめです。本人が作成したものだとより信ぴょう性が増すので、契印をするときには実印での契印が望ましいです。

誤字や脱字があった場合には書き直したほうが無難

自筆証書遺言を作成していて、ついうっかり誤字や脱字をしてしまった場合、訂正の仕方にも決まりがあります。
遺言書の訂正の仕方は、民法で定められています。その決まりを下記にご紹介します。

・遺言書を書いた本人による訂正でなければいけない
・脱字部分に加筆する場合、加筆部分に押印が必要
・誤字を訂正するときは誤字に二重線を引いて書き直し、押印が必要
・除外部分には二重線を引き、押印が必要
・訂正した内容について記したものを遺言書に添付する、または遺言書の余白部分に訂正内容を記す(例えば、「10行目の田中という部分を山田に訂正した」「11行目の渋谷という文字を除外した」などです。)

もしもその通りに訂正がされていなかった場合は、訂正が無効となります。
訂正が無効になるとは、「訂正した事実がなかったもの」として、訂正前の内容で受理されてしまうということです。
また、無理に訂正しようと何重にも線を引いたりして、元の文字が読めなくなってしまったときには、読めなくなってしまった部分は「記載されていなかった」となってしまいます。
ですから、誤字や脱字の訂正、内容の追加や除外をしたいという場合には、もう改めて遺言書を作り直したほうが無難ですし安心です。
その際には、書き損じた遺言書はシュレッダーや細かく切り刻むなどして、しっかりと廃棄することを忘れないように注意しましょう。

自筆証書遺言の記入例

自筆証書遺言には、細かい決まりがたくさんあることがご理解いただけたでしょうか。
自筆証書遺言を作成する前にしっかりと学ぶこと、そして作成した後には・記入内容に誤りはないか ・訂正が必要な箇所はないか ・署名、捺印はきちんとされているか ・必要な書類はこれで足りているか といった細かく確認することが大切なのです。
自筆証書遺言についてざっくりと説明をしましたが、ここではパターン別に遺言書の記入例をご紹介します。ご自身の状況と照らし合わせながら見ていきましょう。

一般的な自筆証書遺言の記入例

一般的な自筆証書遺言の場合の記入例には以下のようなものがあります。

遺言書

遺言者 田中太郎は、下記の通り遺言する

私の財産の内、3分の2を妻である田中花子に相続する
私の財産の内、3分の1を長男である田中一郎に相続する


平成31年1月1日

東京都千代田区〇〇町 〇丁目〇番地〇号
田中 太郎 印

よくある6つパターンの記入例

相続人は遺留分により最低限もらえる財産が保証されている
上記では一般的な自筆証書遺言の記入例をご紹介しましたが、さらに状況別に6つのパターンの自筆遺言の記入例をご紹介します。
表題部分の「遺言書」、文末部分の「日付、住所、署名、印」の部分は同じとして、ここでは遺言書の内容部分をご紹介します。

妻に全財産を残したい(子どもがいる場合)

子どもがいる場合でも、妻にだけ全財産を相続させたいという場合の記入例は下記のようになります。

遺言者 田中太郎 は、全財産を妻である 田中花子 に相続させる。
付言事項:長男 太郎へ。母の老後のことを考え相続は母に託しました。母を看取った後は残りの財産は太郎が受け継いでください。


付言事項(ふげんじこう)とは、内容に法的な効力は持ちませんが、自分の意思や家族への思いを記すことができる箇所です。
この場合、子どもへの配慮が大切になります。なぜ妻である花子にだけ相続をさせたのか、子どもへの愛情や思いを記した付言事項を忘れないようにしましょう。

妻に全財産を残したい(子供がいない場合)

遺言者 田中太郎 は、全財産を妻である 田中花子 に相続させる。

子どもがいない場合、妻に全財産を相続させるには遺言書が必要不可欠になります。
遺言書を作成しないまま夫が亡くなった場合、夫の両親や祖父母が生存していると妻の相続分は、全財産の3分の2となります。また、両親や祖父母が亡くなっているが兄弟がいる場合には、妻の相続分は4分の3となります。

兄妹のだれか1人に多く財産を残したい

遺言者 田中太郎 は、財産の3分の2を兄である 田中 一夫に相続させる。また、財産の3分の1を妹である 山田一子 に相続させる。

兄妹のだれか1人に多くの財産を相続させたい場合には、しっかりと遺言書を記入するとともに、他の兄妹やご自身の妻や子に配慮した付言事項もきちんと記しましょう。

友人に財産を残したい
遺言者 田中太郎 は、全財産を友人である 佐藤次郎 に遺贈する。

財産は、友人やお世話になった人など、血縁関係にない人へも相続をすることができます。
しかし、この場合は遺言書への明記が必須となりますので、血縁関係にない人へ財産を残したいのなら、きちんと遺言書を作成しましょう。
この場合注意したいのが、「相続」という言葉ではなく「遺贈」という言葉を使用しましょう。
相続人以外の人へ財産を残す際には「遺贈」という言葉を使います。

預金を相続させる

預金を相続させる場合には、預金通帳や口座情報などをきちんと記さなければいけません。
下記にご紹介します。

遺言者 田中太郎 は、妻である 田中花子 に下記の預貯金を相続させる。

〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇


支店名や口座番号は書き間違いの多い箇所ですので記入後は、内容に誤りがないかしっかりと見直しましょう。

株式を相続させる

株式を相続させる場合には、保有している株式の内容をきちんと記さなければいけません。
下記にご紹介します。

遺言者 田中太郎 は、妻である 田中花子 に下記の株式を相続させる。

〇〇証券株式会社の全株式


ここでポイントなのが、企業の名前は正式名称で記しましょう。

遺言書が無効になる場合について解説

せっかく自分の意思を託し遺言書を作成したとしても、決まり事をきちんと守っていなければ、遺言書が無効になってしまいます。
ここでは、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」が無効になる場合についていくつかご紹介します。

自筆証書遺言が無効となる場合


1.日付の書き忘れや押印がされていないなどのうっかりミス
2.パソコンやワープロを使って書かれている
3.訂正した個所がきちんと訂正されていない(訂正印がないなど)
4.土地や建物を相続させる場合に、登記事項と異なる敷地面積や地番が記されている(土地や建物を相続させる場合は、登記事項に書かれている内容を正確に記さなければいけません。)

公正証書遺言が無効となる場合

1.公正証書遺言が作成された日付に、認知症が発生していたと認められた
2.公正証書遺言を作成したときに立ち合わせた証人が以下の者だった
未成年者・推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族者・公証人の配偶者・4親等内の親族、書記及び代理人
(公正証書遺言を作成するには、証人2人の立ち合いが必要となります。)

秘密証書遺言が無効となる場合

1.本人の自筆ではない(自筆証書遺言のように本人による自筆の署名が必要となります)
2.訂正部分に誤りがある(訂正印が押印されていないなど)
3.遺言書の印と同じ印を、封筒の綴じ目部分に押印しなければならないが、押印されていない

遺言書を書くときに気を付けたいこと

遺言書を作成するときに気を付けるべき3つのポイント
遺言書を作成するにあたって、さまざまな決まり事があるということを、しっかり認識しなければなりません。ここでは、遺言書の作成でとくに気を付けたいポイントを3つご紹介します。

相続内容について、しっかりと思いと固めてから作成する

遺産相続とは、故人が生前懸命に生きて築き上げたものを他者に譲り渡すということです。

相続させる相手は本当にこれで良いのか、相続内容はこれで後悔しないか、ということをしっかりと意思を固めてから作成に入りましょう。遺言者の意思はもちろん、遺言者が亡くなった後、相続人同士の関係がギクシャクしないか、ということも考慮することが大切です。

自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の長所と短所を理解する

自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言には、それぞれ良いところもあれば、人によっては短所となる部分もあります。
自分にはどの形式の遺言が合っているのかをきちんと把握しましょう。

ミスがないか、作成後の確認を怠らない

遺言書を書き終えたら、抜けている箇所はないか、押印はきちんとされているかというふうに、念入りに確認することが大切です。ひとつでも不備があれば、遺言書は無効になってしまいます。心配な方は、専門の方にサポートしてもらうといった方法をとると良いでしょう。

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まとめ

いかがだったでしょうか。今回は遺言書の書き方についてご紹介しました。遺言書は、死後にあなたの意思を伝える大切な文書です。確かな知識を持って後悔のない遺言書を作成しましょう!
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