自筆証書遺言には、いくつかの決まり事があります。
万が一、不備が見つかってしまってはせっかくの遺言書も効力を発揮できず、一枚の紙きれになってしまいます。
生前の思いを託した遺言書が無効になってしまっては、とても悲しいものです。
ここでは、正しい遺言書の書き方のポイントを8つご紹介します。
自筆証書遺言という名の通り、絶対に本人が書いたものでなければいけません。仕上がりが綺麗、きちんとした書類にしたいからといってワープロやパソコンを使ってはいけません。
血縁者であっても、代筆は認められない
いくら血の繋がった家族や親族であっても、代筆は認められません。必ず本人の直筆で書きましょう。本人に頼まれたからという理由でも、代筆だと分かると遺言書は無効になってしまいます。
自筆証書遺言は、本人による直筆、書面でなければなりません。遺言書には本人の署名と押印も必要ですから、音声での遺言は認められないのです。
遺言書には、誰に何を、または誰にいくら相続させるということを詳しく書く必要があります。相続するものによっても書き方は違ってきますので、きちんと調べて記入することが大切なのです。
自筆証書遺言を作成した日の日付を書きましょう。「平成31年1月吉日」などのような省略した書き方はいけません。
しっかりと、何年の何月何日に書いたものなのかが分かるように記入しましょう。
自筆証書遺言で忘れてしまいがちなのが、署名と押印です。
相続内容をきちんと記したら、文の最後に自分の名前を書き、印鑑を押しましょう。
せっかくきちんと記したにも関わらず、文末の署名と押印が忘れてしまっては、遺言書は効力が発揮できなくなってしまいます。
遺言書に記したいことが、2枚や3枚というふうに複数枚に及ぶ際には、契印をすることがおすすめです。本人が作成したものだとより信ぴょう性が増すので、契印をするときには実印での契印が望ましいです。
自筆証書遺言を作成していて、ついうっかり誤字や脱字をしてしまった場合、訂正の仕方にも決まりがあります。
遺言書の訂正の仕方は、民法で定められています。その決まりを下記にご紹介します。
・遺言書を書いた本人による訂正でなければいけない
・脱字部分に加筆する場合、加筆部分に押印が必要
・誤字を訂正するときは誤字に二重線を引いて書き直し、押印が必要
・除外部分には二重線を引き、押印が必要
・訂正した内容について記したものを遺言書に添付する、または遺言書の余白部分に訂正内容を記す(例えば、「10行目の田中という部分を山田に訂正した」「11行目の渋谷という文字を除外した」などです。)
もしもその通りに訂正がされていなかった場合は、訂正が無効となります。
訂正が無効になるとは、「訂正した事実がなかったもの」として、訂正前の内容で受理されてしまうということです。
また、無理に訂正しようと何重にも線を引いたりして、元の文字が読めなくなってしまったときには、読めなくなってしまった部分は「記載されていなかった」となってしまいます。
ですから、誤字や脱字の訂正、内容の追加や除外をしたいという場合には、もう改めて遺言書を作り直したほうが無難ですし安心です。
その際には、書き損じた遺言書はシュレッダーや細かく切り刻むなどして、しっかりと廃棄することを忘れないように注意しましょう。